2015
07/06
月

かつて切調のシュルシャガナとイガリマについて書いた記憶がありますが、シンフォギア好きの楽しみのひとつとして、聖遺物やアームドギアにまつわるものを調べたり、関係する神話を紐解いてみたりとかもあるんじゃないでしょうか。
ただ放送も始まったばかりで、公式サイトに用語集をはじめとする情報も増えてきていない段階でありますので、一ファンの勝手な思い込みの部分がほとんどになるかもしれないので、読み流して楽しんでいただければと思います。
さて、今回注目したのは、自動人形を率いているキャロル・マールス・ディーンハイムの装いです。
とんがり帽子がいかにも魔法使いっぽいキャロル。
司祭や神父が首周りに掛けているマフラーみたいなものをストラと言いますが、彼女の服装の前面にもそれらしいものが左右に垂れ下がっていて、そこには蛇のような柄が描かれていますね。
神話や聖書でもおなじみの蛇ですが、カディンギルを破壊されたフィーネが聖遺物とノイズの力を束ね、黙示録の赤き竜となった姿も、蛇ぽかったのは記憶に新しいところです。
そしてシンボリズム的に蛇には一匹の蛇が杖に巻きついたものと、二匹の蛇が杖に巻きついたものが神話の中でも見られ、今日では米軍の医療班関係とかWHOのロゴに使用されているのを見る事ができます。
一匹の蛇の巻きついた杖をアスクレピオスと言うそうですが、アポロンと彼の子を身ごもったコローニアスのお話の中で、彼女が浮気していると間違った事を報告した言葉を話すカラスが、後に真実を知ったアポロンからその言葉を奪われたり、なんとなくバラルの呪詛に近いものを感じるところがあったりします。
さておき、本題のキャロルですが、その首周りにかかるストラにはそれぞれ蛇が描かれています。
左右それぞれに一匹づつの計二匹というところですが、二匹の蛇が杖に巻きついたものというと、伝令使いの杖・ケーリュケイオンというもので、その持ち主となるのがギリシャ神話の伝令の神・ヘルメスです。
そしてこの伝令という言葉の中には、遺伝子を伝えるという意味も含まれていると言われ、後に錬金術にその名が使われる事になって行く事と併せてみると、処刑されたキャロルの父親は、遺伝子と錬金術を利用した研究をしていたのではないかと浮かんできたり、その過程で生み出されたのが自動人形のように思えてきます。
自動人形自体もヘルメス神の持つ杖を、後の古代ローマ時代に持っている姿が描かれるようになったメルクリウスにまつわる、商業という側面に銭投げのレイアが、秘密裏に事をなす泥棒という側面に幻影を使うガリィがそれぞれ当てはまる部分を持っているのも面白いと思いました。
ただ気になるのは、本来二匹の蛇は一緒に杖に巻きついているのが常ですが、キャロルの蛇は左右に一匹づつ分かたれたようになっているところです。
二匹の蛇は光と闇、太陽と月、男と女、善と悪などを象徴していますが、それが分かたれてしまっているのはある意味異常な事でもあり、不穏なものを感じさせると思います。
そして、錬金術については、竈の中で火によって世界を新たに作り出すという云われもあるので、初回のキャロルが炎の中で泣いていた様子から、彼女は世界を一度壊して新たに作り直そうとしているのではないかと思いましたが、この分かたれてある蛇に、キャロルとそっくりなエルフナインの二人が重なる印象を受けています。
二人の関係は、世界を壊すものと、それを止めようとするものなんでしょうか。
エルフナインの持っている匣がそのヒントになると思いますが、パンドラの匣のようなものなのか、それともキャロルの破壊の炎をしまい込むための蓋つきの箱なのか、これから描かれる二人の関係とその目的が気になるところです。
今回はキャロルの装いにある蛇に注目してみましたが、公式サイトをこれからも目を皿のようにチェックしつつ、設定なども楽しんでいきたいと思います。

- 関連記事
-
- 戦姫絶唱シンフォギアGX 第2話「世界を壊すーーその前に」感想・考察 エルフナインの届けるドヴェルグ=ダインの遺産が砕けたシンフォギアを復活させる!?
- 戦姫絶唱シンフォギアGX 第1話考察 キャロルの衣装にギリシャ神話のヘルメス神を思う。
- 戦姫絶唱シンフォギアGX 第1話「奇跡の殺戮者」感想 : 歌もアクションもひだまりも全てがシンフォギアだった。
COMMENT