櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第1話「骨愛ずる姫君」感想

北海道旭川市を舞台にしたミステリ小説のアニメ化ですね。
初回は骨に強い執着を持ち、骨格標本を作る趣味の持ち主である九条櫻子と、彼女の知人である正太郎の掛け合いを通して二人の関係を描き、やがて心中死体を前にした櫻子が、検死の知識を披露した辺りから物語に引き込まれていく感じだったでしょうか。

そして、決めゼリフから始まる櫻子の検死によれば、二人の手を繋ぎ結ぶ縄の向きが自分たちで結んでいたとすると本来は上を向くはずなのに下に向いていたこと、そして舫結びという縛り方であるのに男性がわざわざ利き腕を女性と繋ぎ結んでいたことに着目し、他殺の可能性があるという事でした。

そもそも舫結びは最後にグッと自分の方に体重をかけて引っ張るので、真逆の下を向くのはおかしいと気づくのは知っている人でないと思い浮かんで来ない着目点だと思いますが、そこを櫻子が語りながら、横に居る正太郎が感嘆を持って確認していく見せ方がわかりやすく、尚且つ視聴者目線になっているのは良い作りの見せ方だと思いました。

そういう見せ場をひとつ初回に投入し、人間よりも骨に執着するあまりにお茶目さを発揮するというヒロイン櫻子のギャップをこの初回で織り交ぜたのは、構成に波もあって面白く、なにより作品にとっつきやすさを与えていたんではないでしょうか。
そして、時折見せる櫻子の大人っぽい表情と骨抱いて今にも逃げようとする彼女がなんとも愛らしく思えました。

さてまだ序盤なので、いきなり大きく話が動き出すとは思いませんが、ミステリなのでお話の起点として何かの事件は起こるんでしょうね。
そしてその中で櫻子と正太郎の二人を通して、しばらくは作品の雰囲気をしっかりとしたものにしていくんでしょうか。
今期は老若男女が登場してハートを攻めてくる作品が少ないので、その辺りも期待しています。
ともあれ、個性的で面白い作品になるのを期待しながら、まずは次回を待ちたいと思います。