櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第10話「蝶は十一月に消えた 前編」感想

兎の骨をゲットしてご満悦の櫻子さんがズバット言うわよ！

可愛いんだか変わってるんだかわからない櫻子さんを今回も楽しみましたが、彼女の散策は骨を見つけるのが目的なんですね。
一緒に山を行く正太郎君がウキウキしている横で、目的のものを見つけてご満悦な櫻子さんがおもしろ可愛い人でした。

さておき今回は、二人に同行した磯崎先生のかつての生徒・一重の蒸発を起点に物語が進んで行きますが、一重を櫻子さんたちが探すうちに、彼女と友達だった二葉が学生時代に蒸発し、それがきっかけで仲良し三人グループだったはずの三奈美と一重が仲違いしていた過去が明らかになってきました。

学生時代の彼女たちと交流のあった磯崎先生については、未だ帰らない二葉と彼女たちの関係が壊れてしまったことに何もできなかったという悔恨がトラウマとなり、植物依存性になってしまったのだと櫻子さんがバッサリ指摘するようなシーンもありましたね。

そしてまた、一重の両親に事情を聞くところでは、蒸発よりも世間体を気にする親にキツイ物言いをしたり、ある意味ハッキリ切り捨てるようにものを言う櫻子さんが面白い後半でしたが、彼女が何かに苛立っているような、或いは焦っているような、これまでの櫻子さんらしからぬものを感じたのは気のせいでしょうか。

おそらく見終わった後にそう感じたのは、花房なる謎の画家の登場と彼が蒸発した一重を操っているらしきところと、呪われた男の家にあったものと同じ作風の絵画が一重の部屋にあった事。
そして三人の女の子の関係がはたから見るものとは違って画家を取った取られただのという歪なものを含んでいる事からだと思います。

そして、お話はまだ一重が蒸発したという段階に留まっていますが、呪われた男に支持を出していた人物が花房と同一人物とするならば、死と云うものまで含む事件に発展する、もしくは既に事件である可能性が高い匂いがしてきますね。
死を嗅ぎつけるヘクターではありませんが、ひょっとしたら櫻子さんはそれを感じて急いでいるのか、そして少年を巻き込んでしまう事を同時に恐れる不安を肌で感じたために、彼に明日の朝食もうちに来るようにと言ったのではないでしょうか。

ともあれ、花房が教唆犯であるなら、三人の女の子たちの関係にある歪さにつけこんでいるんでしょうね。
櫻子さんは疲れきっている三奈美を家に泊めて食事を振舞っていますが、この三奈美には花房を一重に取られたこと以外の何かがあるんではないでしょうか。

ただの親切だけで櫻子さんが保護したととるのは早計な気もするので、三人の女の子たちの関係の深いところに櫻子さんがこれからどんなふうに切り込んで行くのか気になるところです。
直接的にではなく、人の良い磯崎先生を使うのもひとつの手ではありますが、ともあれ後編の展開を楽しみにしたいと思います。