クロムクロ 第9話「岩屋に鬼が嗤う」感想

ロボ侍が空を飛ぶ！
由希奈を乗せた剣之介とクロムクロの死なない戦いが始まった。

父親の腕時計をした者に助けられた由希奈は、彼のアジトのようなところで目を覚ましました。
そして目もはっきり覚めやらぬまま置かれていた父親のノートを読んだようですが、そこには調査に向かう父親がこれで娘も嘘つき呼ばわりされなくなるという事が書かれており、由希奈は父親の気持ちを知って涙を流していましたね。

しかしそんな由希奈の喜びも束の間、再び現れた青い小鬼から父親がここには居ない事を告げられ、朦朧としていた由希奈が気を失った間に、剣之介が馬を止めていたバス停に運ばれてしまいました。
はたして父親が居ないという小鬼の話は本当だったのか気になるところですが、ともかくも父親の自分への気持ちを知った由希奈は落ち着きを取り戻したようですね。

さて、三体の鬼が由希奈と剣之介の居るすぐ近くに降り立った危機的状況の中、再び二人は顔を合わす事になりますが、かねてから由希奈を探していた赤城君に、剣之介は自分の死に場所探しに由希奈を巻き込むなとはっきり言われてしまいますが、まったくもって正論この上ない指摘だったと思います。

そしてそう言われた剣之介も、由希奈にムクロに乗らなくて良いと告げますが、ここでうんわかったと言わないのが由希奈の面白いところですね。

剣之介としたら自分の由希奈への言い方が悪かったのかとちょっと勘違いしていたようですが、降って湧いた運命と責任に翻弄され、父親の事で泣いていた女の子の微妙な気持ちが剣之介のわかるはずもなく、ただ真っ直ぐに彼女に頭を下げる彼を目の前にして由希奈は何を思ったんでしょうか。

やがて共にクロムクロに乗り込み、射出されて空を飛んで居る最中に由希奈を必ず守ると彼から言われて、素直に嬉しかったんだろうと思います。
それはすなわち死に場所と死せる時を決めていた剣之介が、由希奈が共にある限り、死なない戦いをするということですね。

そしてそれは彼女を残して何処かへ行ってしまった父親のように、自分を残してはいかないという事と彼女の中では重なるのではないでしょうか。
本分を果たしても剣之介が生き続ける選択をし、そしてまたいつの日か由希奈が父親と再会する事ができるといいですね。
そんな未来を引き寄せるヒロイン由希奈の頑張りを見守りたいと思います。

ともあれ、クロムクロを上方から攻撃できる場所を取った敵の鬼が、こちらが有利とばかりに剣之介たちを嗤(あざわら)っている感じでしたが、近くの地層を知っていた由希奈が機転を利かせて見事な逆転を決めたのは面白かったです。

ただ、なぜ宇宙にいる鬼たちがクロムクロごと二人を攫って行こうとしたのかが気になりますが、それは鬼たちがふたたび地球に襲来した理由と繋がっているのは間違いないでしょうね。
その辺り、今回降伏して捕虜になった鬼の操縦者がこれから何を語るのか楽しみなところですが、次回のサブタイトルの感じでは一筋縄ではいかないようですね。

由希奈自身の気持ちが落ち着きを取り戻した事と、剣之介の戦いの終着点が自鎮する事ではなくなった事で、お話と主人公二人の気持ちに転機が訪れたエピソードになったんじゃないでしょうか。
なのでそろそろ鬼側の目的を明らかにして欲しいところですが、さて、そこに父親の研究と剣之介の慕う姫様がどう絡むのか、わくわくしながら次回を待ちたいと思います。