2016
10/14
金

ベテラン編集者の荒木が馬締を見つけるところは、総毛立つような昂りを感じてしまいました。
玄武書房辞書編集部で長らく辞書の編集に携わってきた荒木は、国語辞典『大渡海』の監修を務める老国語学者の松本を前に、自分がやがて定年を迎え、妻の面倒を見るために辞典の完成まで今までのように付き合い続けるのは無理になる事を伝えていました。
しかし彼はなんとかして自分が定年を迎える前に、辞書編集に的した人材を見つけて後継者にすると責任感に燃えていたようですね。
そして、時を同じくして、荒木と同じ辞書編集部に席を置く若き社員である西岡が、とある書店に営業に伺っていた同社営業部の馬締を見かけるんですね。
しかし熱意と誠実さは有るものの、どこかチグハグな営業をする馬締に西岡は黙っておられず、書店を後にした馬締に彼なりのアドバイスをしたようですが、ここで彼の話に応える馬締の言葉へのセンスや知識の深さを西岡は感じながらも、営業についての話にそぐわない馬締の受け応えに、変な営業社員がいるなあという感じの方が印象に残ってしまったようですね。
そして、閑話休題と言いましょうか、下宿屋らしい住まいで暮らす馬締の人となりが、一緒夕げのひと時を過ごす大家のおばあさんとのシーンで描かれますが、こんな暮らしが残る下宿屋さんがまだあるんなあと感じて、若い時にお世話になった会社の社長の奥さんのことを思い出して、少し懐かしくなりました。
ともあれ、人情と云うものが寄って来る馬締は良い青年だと思いますが、西岡から馬締と出会った時のいきさつを聞いて彼に並々ならぬ関心を持った荒木には、馬締がどう見えたんでしょうか。
辞書編集者としてのセンスを感じた荒木は、いてたても居られず飛ぶように馬締を探しに向かいましたが、営業部を見渡した彼の目に止まった馬締の台帳を棚に戻すその物腰から、その若者が探しに来た馬締だと直感的に感じたようですね。
それはおそらく長きに渡って辞書編集に携わってきた事で、荒木の中に積み重ねられてきたものが反応したのだと思いますが、さすがノイタミナと言うべきか、昂ぶるような興奮を感じさせるシーンになっていましたね。
映画化もされたこの『舟を編む』という作品ですが、これからアニメでどんな風に見せてくれるのか、そんな期待が湧いて来るような初回だったと思います。
次回も楽しみにしたいですね。





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