2016
11/18
金

いいお返事のシーンでした。なんか目がうるうるしましたよ。
恋文の返事がもらえるかと馬締は夜通し起きていたんでしょうか。
翌朝落ち着かない気持ちのまま早くから下宿屋を出て行こうとしますが、そこでばったり香具矢に出会ってしまい逃げるように会社に行ってしまいましたね。
これはダメだなぁと馬締の様子にそう思いましたが、会社に行ったら行ったで今度は西岡が来春から宣伝部に移動と云うのが部署のみんなに知れて、公私ともに山あり谷ありと言った感じでしょうか。
荒木も松本先生も西岡の事を聞いて会社は大渡海を作るつもりが有るんだろうかと全てを振り出しに戻されたような気持ちになったと思いますが、それでも明治にたった一人の人物によって作られた辞書・言海を引き合いに出して、たとえ何年かかろうとも諦めずに大渡海の製作を進めて行こうというのは大した気概だと思いました。
そしてその辞書にも載っているだろう「業」という言葉に触れ、深く思考を巡らす馬締は、本当に辞書作りに向いている青年ですね。
けれども果たして自分が西岡がしてくれている外部との折衝や原稿の回収をやり切れるのか不安に思ってしまうのも、また馬締らしいところでしたね。
翻って香具矢から返ってくるだろう恋文の返事にも彼は不安しかない様子で、晩飯の支度をしながら思考停止というか、頭の中で不安がぐるぐる回るばっかりじゃなかったんでしょうか。
しかし、彼は自分の本置き場に歩み出し、そこにしまわれていた辞書・言海を取り出すと、料理をする人を意味する「厨人」という言葉と、松本先生から話題に出た「業」という言葉の載っているページを開き、その言葉に思いを巡らす事で時の流れや、仕事も恋も不安に苛まれて立ち止まっていてはいけないと云うのを感じたのではないでしょうか。
やがて彼は決意を固め、帰って来た香具矢に恋文の返事を聞きに行きましたが、そこでびっくりしたような香具矢の反応にズッコケそうになりました。
これは読んでみたものの意味が分からなかったんだろうなぁと感じましたが、少し時間を置いてから馬締の部屋に現れた彼女の返事にやっぱりそうだった事が分かり、答えを知りたい馬締に向かってただ「うん」「うん」と返事を繰り返す香具矢に、この二人似たもの同士か…と思いました。
そして先日の観覧車に二度乗ってしまった馬締の話題が出て、恥ずかしそうに頭を掻く彼に向かい、最初あれが恋文とは分からなかったこと、そして大急ぎで読み返して来たことを香具矢は伝えましたが、結局あの文章量とそれに想いが真摯に込められていたことに女性として感激してくれたのではないでしょうか。
改めておずおずと返事を聞く馬締に私も好きですと言ってくれて良かったですね。
お付き合いを始めてからの方が大切な感じのするタイプの香具矢ですが、「業」という言葉に想いを巡らせ出してから馬締が返事をもらうまでの展開は素晴らしかったと思いました。
なのでエンディングが流れ出した頃には目頭が熱くなってしまいましたが、辞書作りという題材の中で恋もそれに沿って描いて行くこの作品の面白さに触れることができたように思います。
舟を編む。面白いですね。次回も楽しみにしています。







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