ACCA13区監察課 第9話「牙を剥く優美な黒蛇」感想 母が愛し母を愛した者にやがて蛇の野望は踏みつけられるだろう。

グロッシュラーの髪を引っ張り命令を下す黒幕リーリウムにゾクッとした。
しかし、ジーンとロッタが彼の思惑通り王位につくことは、決してないように思えますね。

懐妊している娘を持つ第一王女の命により、彼女のお付きの部下がロッタ暗殺に動き出しましたが、シュヴァーン王子も他の王位継承者になる可能性の人物が居なくなるのは良しという事でしょうか、何も手を出さないで傍観を決め込んだようですね。

しかしロッタのパン友でもあるマギーがひょんなことから知己を得た、ACCAバードン支部の新米巡査であるレイルに電話をしてロッタが狙われていることを知らせてくれましたね。
ここでレイルに活躍の場が回って来たのはなかなか面白い展開でしたが、ロッタをどうやってデートに誘おうかと未だ悶々とし続けている彼にはちょっぴり荷が重かったかもしれません。

暗殺などという事に慣れてなさそうな王女の部下たちの方も迂闊で、ロッタの住むマンションの警報に引っかかったり、ドーワー区の王家に使えるのがわかってしまう服装のままロッタの身柄を確保しようとしますが、守る方も狙う方ももう一つのままロッタが捕らえられてしまいましたね。

しかし、ここでオウル課長が登場し、見事な駆け引きでもってロッタを取り戻してくれましたが、途中時を稼ぐ働きをしてくれたように思える喫茶店の青ひげのご主人もオウル課長、すなわちもうオーベントと言っていい課長の協力者のようですね。

それはオーベントがロッタとジーンを守るために構築されたオウル課長の長い手があちこちにあるのを感じさせ、ジーンの移動願いを握りつぶしてまで、シュネー王女の子供たちを守り続けて来た彼の揺るがぬ愛を感じますね。
オウル課長さん、できる人ですね。とても恰好良かったです。

こうしてロッタの身から危険は去り、彼女自身もジーンが言わないでいた王家の血を持つ者というのを知ってしまいましたが、頑張ってくれたレイルに秘密だよとニコリとするところが可愛かったですね。

レイルも二人だけの秘密ができたと喜んでいましたが、後半に入ってジーンとロッタがシュネー王女の忘れ形見というのを知っていた人物たちが意外と多かったというのが描かれ、クーデター計画の核心へと一気に迫って行く事となりました。

グロッシュラーだけでなく各々のルートでジーンが王家の血を持つ者である事を知っていた五長官。
そしてグロッシュラーは長官たちにシュヴァーン王子が玉座についてACCAが解体になる未来か、国民を巻き込まない形で起こすクーデターでジーンを玉座に付けてACCAが結果存続する未来が望ましいのかの二択を提示しますが、ここでいの一番にグロッシュラーの選択するジーンを旗頭にした計画に賛同を表明したのがリーリウムでしたね。

今まで二人の意見が合う事が無かったことを見続けてきた他の三長官はその様子に驚き、自分たちも賛同すると言い出したので、今後はクーデター計画を進めて行くことに協力して行くんだと思いますが、本当に恐ろしいのはその後のシーンでした。

夜半に呼び出されたグロッシュラーにお前は命令を聞いていればいいんだと、まさに黒蛇のような顔をしながら唇を吊り上げたリーリウムが背筋にゾッとするものを這わせてきますね。

おそらくグロッシュラーの弱みと云えば列車事故の責任問題で指揮をとった時のことかと思われますが、その辺りが明かされるのは次回以降という感じですね。

ともあれ、どれだけリーリウムが策謀を巡らせようとも、いつか父親であるファルケ二世国王のために力を尽くしたいと言っていたシュネー王女の息子であるジーンとロッタが唯々諾々と彼の計画に乗るわけがないと確信しています。
今は従っているグロッシュラーも逆転の機を伺っているだろうし、モーブ本部長も独自に動くのは間違いないですね。

そしてなにより、オーベントが黙っているわけがありません。
蛇は聖母が踏みつけるという話もありますが、シュネー王女に愛される者と彼女を愛し続ける者が、クーデターではない最善の道を見つけて行くんではないでしょうか。
次回からの展開を楽しみにしたいと思います。







TB送信先 パンがなければイナゴを食べればいいじゃないさん